4つのまちがひとつになる日。太田姫稲荷神社例大祭 後編

御茶ノ水駅、神保町駅、小川町駅の中間地に、オフィスビルや大学に囲まれて静かに佇む神社があります。その名は、「太田姫稲荷神社」。そんな太田姫稲荷神社にて、2024年5月11、12日に例大祭が開催されました。

駿河台東部町会、駿河台西町会、小川町二丁目南部町会、錦町一丁目町会の4町会が集まって一基のお神輿をリレー形式で繋ぐのが特徴。町会が異なるため普段の関わりはそう多くはないものの、氏子という長く深い、独特な繋がりは二年一度でも強固な結束を見せます。

エリア内には、オフィスビル、大学、楽器屋、駅、首都高などがあり、町会ごとに見せる街の表情はさまざま。まちからまちへと繋がっていく、太田姫稲荷神社例大祭ならではの風景をたっぷりご紹介します。

前編はこちら

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●神輿巡行 神田錦町一丁目

式典の翌日5月12日、いよいよ神輿巡行。朝から夕方までかけて、駿河台東部、駿河台西、小川町二丁目南部、錦町一丁目をじっくりまわります。まずは太田姫稲荷神社の宮出しから、錦町一丁目へ。6年ぶりの長い一日のはじまりです。

朝8時前。太田姫稲荷神社には半纏に身を包んだ人、人、人
4町会の氏子のみなさんが勢揃い
数分経ってさっそく宮出し
お神輿の登場で、あっという間に神聖な空気に
手前にいる黒い半纏を着た方が「氏子青年部」
背中に描かれているのは太田姫稲荷神社の紋である桔梗紋
はじめは4町会の皆さんで一緒に担いでいざ出発
ビルとお神輿のコントラストがこのエリアらしい風景
4町会の高張提灯がずらり
手拭いを締めた女性たちが先導する様子はとっても粋
開始5分なので、まだ余裕の表情
太田姫稲荷神社からお茶の水仲通りを抜けて靖国通りへ
車道を一時通行止めにして、多くの人に見守られながらお神輿は進んでいきます
先陣を切る各総代が勇ましい
神田スクエアに到着してひと休憩
開始から20分程ですがもう肩パンパンだよ!とこぼす人も
神田警察署署長が一本締め
気を引き締め直して再出発です
藤井町会長が営む会社の前でお神輿を差し上げ
出発から1時間半ほどで神田橋の手前まで到着
首都高を横目に、お神輿はじりじりと練り歩きます
神田橋交差点が大きな見せ場
高張提灯が中央に並び、その周りお神輿がぐるっと回ります

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●神輿巡行 神田小川町二丁目南部

錦町一丁目をぐるりと回り、次は小川町二丁目南部へ。範囲はごく一部ですが、スポーツ用品店や書店が並ぶ、靖国通りに面した賑やかなエリアで注目が集まります。

神田橋交差点を曲がると、本郷通りをまっすぐ進んで小川町方面へ
ビルに囲まれた大通りを、高張提灯を筆頭に空気を変えていきます
一本路地に入った細い道も、みんなで見守りながらお神輿は進みます
2024年6月に惜しまれて取り壊しとなった「顔のYシャツ」の看板にもご挨拶
再び靖国通りに出て小川町交差点をぐるりと一周
街行く人も増えてきて注目が集まるとともに、緊張感も高まります
普段はスーツ姿の人が多いエリアが
桔梗紋の半纏に埋め尽くされるのもこの日ならでは
再びお茶の水仲通りへ
3時間かけて太田姫稲荷神社に戻り、午前の部が終了!
小一時間休憩して、午後の部に備えます。

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●神輿巡行 駿河台西

午後の部は太田姫稲荷神社を再び出発して、午前とは逆の御茶ノ水方面を目指します。駿河台西は明治大学や日本大学のキャンパスがあり、楽器街としても有名なエリア。ここからは子どもたちも参加してさらに盛り上がりを見せていきます。

午後の部は子ども神輿からスタート
駿河台西のエリアにあるお茶の水小学校の子どもたちが100人近く大集合
お神輿を担いだり、山車を引いたり、太鼓を叩いたり
小さな体で力強く進んでいきます
少し遅れて大人のお神輿も再出発
まずは明治大学駿河台キャンパスに向かいます
現在のキャンパスは1998年に建てられたものですが
前身となる明治法律学校がここ神田駿河台に拠点を置いたのは1886年(!)
明治大学のOBや学生も参加して大盛り上がり
続いて40以上もの楽器店が並ぶ駅前通りへ
お店からこぼれ聞こえる音楽と、お神輿の掛け声が混ざり合います
この界隈で最も古い楽器店と言われている、黄色の看板が目印の下倉楽器
ずらりと並ぶ楽器たちがお神輿を見守ります
緑の多いかえで通りをまっすぐ抜けて御茶ノ水駅へ
改札ぎりぎりまでお神輿が入っていくのが太田姫稲荷神社例大祭の名物
駅長が一本締め!
御茶ノ水駅を出て東へと向かいます

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●神輿巡行 駿河台東部

神輿巡行もラストスパートへ。駿河台東部は、高層ビルを見上げるニコライ堂が印象的な、新旧が入り混ざるエリア。すでに開始から8時間が経過していますが、最後の力を振り絞ります。

改札を出て、御茶ノ水駅前すぐの歴史ある商店街・茗渓通りを進む
新御茶ノ水駅の広場で最後の休憩
交差点の向こう側に、太田姫稲荷神社が最初にこの地に遷座した場所があります
区長が一本締めを行い、ラストスパートへ
出発してすぐ見えてくるのは、重要文化財であるニコライ堂
現在の姿は関東大震災で被災した後の1929年に修復されたもの
開始から時間が経ってもたくさんの人数で見守ります
駿河台の景色を映す大きなビルを背に、お神輿は一歩一歩踏みしめて進んでいく
最後は駿河台から太田姫稲荷神社までの長い一本道
ゆっくりと歩きながら宮頭の木遣に導かれる宮入道中の様子は圧巻!
最初から最後まで多くの人に見守られ、三本締めで約10時間に渡る巡行が終了
お疲れさまでした!

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時の流れとともに、例大祭という伝統を受け継いでいく。それは同じことを繰り返しているのではなく、いつの時代も変わらずにあるための試行錯誤の積み重ねを感じました。
まちの風景が変わってもお神輿と半纏がどこか馴染むのは、そうした積み重ねの現れかもしれません。

次の開催は2016年。二年後はどんな風景が生まれるのか、まちの移ろいを感じながら楽しみに待ちたいと思います。

Text/Edit: Akane Hayashi
Photo: Akiko Sugiyama

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