不安や困りごととの関わり合いをつくる、表現や場の力|こんなだった、なんだかんだ12 #1

2023年にはじまり、あっという間に12回目を迎えた「なんだかんだ」。大小さまざまな規模で展開し、路上を大々的に使って開催するのは4回目です。着実に回を重ねつつも、ひとつの型に収まるのではなく都度やり方を探りながら、多様な発見にあふれる場をつくってきました。
▶︎これまでのなんだかんだhttps://opkd.jp/nandakanda/

境界なく演目たちが繰り広げられる畳の上は、私たちをあたらしい世界や体験に出会わせ、誘ってくれるゆるやかな舞台です。演者も参加者も渾然一体となり、どこか居心地がよく、安心できる時間や場をともにする。そんな光景を生み出すことが、なんだかんだを通してずっと取り組んできていることです。
12回目となるなんだかんだも、たくさんの方に協力いただき、目まぐるしくあらゆる光景が生まれていきました。そんな濃密な一日の様子をお届けします。

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なんだかんだ12のスローガンは、「なんだかんだと、よくがんばって生きてきた」。
クリエイティブディレクターの池田晶紀さんは、改めて「なんだかんだ」という場を捉え直し、この場に込める想いをこう綴りました。

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「なんだかんだ」は、障害のある人、福祉施設の方、アーティスト、役者、ミュージシャン、医師、この街を愛する人、こどもや親など、さまざまな立場の人たちが出会い、生き方や表現をたがいに分かち合いながら、「たのしむ意欲」を交換する祭典(場)です。ここで生まれるアイデアや関係性を、「社会の中でどう活用できるか?」を探る、創造と実験の場として位置づけています。
私たちはこの場を、“あたらしい縁日”と呼んでいます。この縁日には、「こんなやり方があったんだ」や「なんだかちょっと楽になった」といった声が、自然と集まってきます。見方や考え方を、少しだけやわらかく変換するようなアイデアが、ここにあります。縁日では、会場となる路上や建物の中に、合計300畳の畳が敷かれています。普段、畳の空間は「内と外のあいだ」を感じさせるものですが、靴を脱いで路上の畳に一歩ふみこめば、そうした境目の感じ方が違うかもしれません。路上の畳からは、ビルの隙間から見える空や、人と人がたのしそうに過ごす様子が広がっている時間が流れています。

出会ったことのない世界、出会ってみて初めて知る体験。体感する心地よさや、出会い方そのものが、この縁日の魅力です。じわじわと共感が生まれ、気づけば「ここ、なんか居心地いいな」と感じてもらえるような時間になったら、うれしいです。

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●演劇・配達・かるた。問いや勇気を与えてくれる、画期的なアイデアたち

たくましく、たのしく生きていくためのアイデアや工夫を分かち合う。そのアイデアを持ち寄るのはさまざまな立場や分野で活動される方々で、特に第一回目から障害のある方や福祉施設の方に多く参加いただいています。
日頃から楽しむことや気持ちをほぐすことを考え、向き合っているからこそ生まれるアイデアや表現はとても画期的で、自然と惹き込まれ、見ている私たちに問いや勇気を与えてくれました。

就労継続支援B型事業所のBaseCampによる、
即興お悩み相談パフォーマンス「べーきゃんくりにっく」。
会場の中からお悩みを聞いて、BaseCampのメンバーがその場で演劇に!
「やりたいことがたくさんあって寝る時間がない」という学生さんからの悩みには、
主人公の周囲をいろいろな欲求に扮したメンバーたちが次々に取り巻く劇に。
メンバーの巧みでユーモアなお芝居も相まって、思わずクスッとしてしまうその様子に
劇にすることで切実な悩みも少し軽くするような不思議な力が感じられました。
会場に突如現れた車いすの集団は、佐野夢果さん考案のワークショップ
車いす夢のデリバリー「記憶を届ける 〜宇宙編〜」。
車いすに乗って街へ繰り出し、なくした記憶を集めるというものです。
いざ街へ出ると、記憶をなくして困っている生き物があちこちに。
記憶を思い出す手助けをして、記憶のかけらを集めていきます。
話を聞いて困りごとを助けるたびに、通じ合えていく気がします。
車いすに乗ることと、困っている人を助けることをセットで体験し、
最後は社長から報酬をいただいて、達成感もひとしお。
世田谷の福祉事業所・ハーモニーによる幻聴妄想かるた。
メンバーが実際に体験したことを句と絵にしたかるたを競いながら、
ユニークな絵とメンバーから語られるエピソードを通して、
知らなかった幻聴や妄想の世界に触れていきます。
画材循環プロジェクト「巡り堂」のスペースでは、
なが〜〜〜〜い紙が敷かれ、思う存分画材を使って、思う存分描ける空間に。
廃棄されてしまう画材たちが巡り堂のメンバーの手によってピカピカに磨かれ、
またさまざまな人の手にわたって、その場を鮮やかにしていました。

●お馴染みとはじめましての演目が、混ざり合うように楽しさを生む

他にも畳を埋め尽くすほどさまざまな演目が大集合。お馴染みの演目はこの場をより安心感のあるものにし、はじめましての演目はこの場に新しい光景を生んでくれました。

建築家 藤本信行さんによる茶道教室「露天風炉」。
オープンな空間のせいか、お客さん側のリアクションもどこか開放的。
TOBICHI 東京による「おちつけ書道」もすっかりお馴染み。
書くことに向き合う時間って、実はとっても落ち着く。
元図工教員のひつじ先生のコーナーでは、
ハレパネにさまざまな材料を貼ってゆかいな生物をつくります。
色とりどりな素材にときめくままに、個性豊かな生き物たちが次々に爆誕。
はっとりこうへいさんの色を削るワークショップでは、
木片に好きな色を重ねて塗り、ヤスリで削ると
色の混ざり合いが浮かび上がってくるという新鮮な体験!
手芸用のモールで人形をつくる、共立女子大学 建築・デザイン学科 藤本ゼミの「HEART MEAT」
手軽な材料で簡単につくれるので、
災害避難時の不安やストレスも和らげてくれるというアイデアです。
つくりながら話したり、自然を気持ちを共有できる場になっているのも
この人形たちのかわいさのパワー。
能登半島地震をきっかけにつながった個人の集まり「Futo」のコーナーには
災害を機に廃棄される予定だった着物や古布をレスキューしたものが並びます。
さまざまな変化に向き合わざるを得ない中、変わらず残る美しさに、一層の輝きを感じます。
ひびのこづえさんと奥能登・珠洲の食堂をたのしく飾る「#珠洲をあむプロジェクト」
色とりどりのビニールテープを編むと、質感も相まってなんとも鮮やかかつ華やか!
茨城県日立市にある多機能型就労支援事業所ひまわりの「なんだかんだコーヒー屋さん」
はるばる来てくださったメンバーの方が丁寧に淹れるコーヒーは身に染みます。
お昼時にたくさんの人が集まる畳の上で突如行われたのは、
伊藤千枝子さんの歌とダンスのパフォーマンス。
体ひとつで表現し切る姿は会場全体を惹き込み、ほとばしるパワーはたくましい!
前回のなんだかんだで好評だったパン食い競走
パンを咥えるだけで盛り上がるって、あらためて考えると不思議な文化。
カクシンハンのロミオとジュリエットは、恒例ながら何度見ても名作。
青空ウィスキングは、人目を憚るよりも植物の包み込む力が上回ってみなさん安らぎに没頭。
篠崎芽美さんとダンススル会の子どもたちによるオリジナル作品「ダンススルゴミ」
ゴミをテーマに、子どもたちの鮮やかな感覚で捉えた景色をダンスにしたという
パフォーマンスは息を呑むほど圧巻!
今回はテラススクエアも会場となり、さまざまな演目が展開。
ミニトレインは見ているだけでもかわいい光景。
鉄作家・小沢敦志さんの鉄をぺちゃんこにするワークショップは、
子どもも大人も全員興味津々。
Mobilis Aquariumの「ちいさな東京湾水族館」では、
東京湾に暮らす生き物たちが神田にやってきてくれました。小さくても、水族館ってときめく。

すっかり日が暮れ、クライマックスの時間が近づくと、バンドセットと大きなキャンバス、大量の植物が路上に現れます。なんだかんだに縁のあるメンバーで構成された即興コミックバンドが組まれ、正則学園の花いけ男子部による花いけの生パフォーマンスが展開。そして、大きなキャンバスの前には女優の鈴木杏さんが登場し、ライブペインティングを披露!

これらの3つが同時に繰り広げられるセッションタイムに会場も目が離せず、さまざまなものが領域を越えて混ざり合う、なんだかんだらしい締めくくりとなりました。

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なんだかんだは年に数回の取り組みですが、ここに集まる演者のみなさんはそれぞれの場所で、日々活動を積み重ねています。披露してくださった画期的で魅力的なアイデアからは気づくことや学ぶことが多く、そうしたアイデアがいかにして生まれ、育まれていったのか、その背景にこそ大きなヒントがあるような気がします。

なんだかんだが、あらたな世界との出会いの場としてさらに発展できるよう、そのヒントをつかむべく、今回初参加いただいた方にお話を伺いました。

#2に続く


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