ご縁がつながるきっかけは「さしすせそ」
神田錦町 みんなのご縁日
夏の余韻がようやく落ち着きを見せ、過ごしやすくなった夕暮れ。10月13日(金)に「神田錦町 ご縁日」が開催されました。
「神田錦町 ご縁日」とは、神田錦町周辺でで働く人、住む人、学ぶ人たちが集まり、ご縁を深めるきっかけを作るイベントで、開催は今年で4回目。
ビルが多く、縁日ができるほどひらけた場所なんてあるのだろうか…
という神田の街ですが、ちよだプラットフォームスクウェアの広場と、隣接する道路と駐車場を大胆に封鎖して行われました。
普段は近隣で働く人々が行き交う場所も、屋台が並ぶとすっかりお祭り空間に。まだ新しい取り組みながらも、昔からの恒例行事かのような盛況ぶりで、遊んで食べて体を動かしながら交流が生まれていきました。
しかし、「交流」と一口に言ってもさまざまなかたちがあります。今回のご縁日に参加して見つけたご縁がつながるヒントを、料理や褒め言葉の基本でお馴染みの「さしすせそ」に乗せてお届けします。
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[さ]あ、よってらっしゃい見てらっしゃい!
おいしい・楽しいが大集合。神田錦町の屋台村
道路や駐車場の屋台では、神田錦町に構えるお店や会社によるおいしいもの、楽しいものが大集合。普段はなかなか触れる機会のない会社の出し物も、「さあ!」と両手を広げて屋台に立つと、たくさんの人がどれどれと吸い込まれていきます。
屋台の中で真っ先に目に飛び込んできたのは、メガネをかけまくる子ども達。今年2023年に移転してきたばかりのJINSによる、制限時間内でいかにメガネをかけられるかを競うゲーム「メガ盛り」です。
その隣には昨年も大人気だったほぼ日の「われてもさみしくないヨーヨー」や神田警察署からはなんと白バイの展示があり(しかも跨いで写真撮影可)、それぞれの個性が溢れたコンテンツが並びます。
また、地元の飲食店も多く出店し、今年オープンしたばかりの「廣瀬與兵衛商店」から神田錦町で50年以上営業を続ける「喫茶プペ」など、古くからあるお店と新しいお店が混ざり合いながら自慢の味をふるいました。
本WEBメディア「オープンカンダ」のクリエイティブディレクションや撮影を担当しているゆかいは、ご近所のボルツと一緒にわたあめ屋台を出店。一度も列が途切れず、3時間で112個売れました。
他の屋台にもひっきりなしに人がやってきて皆さん大忙し。ですが、会社やお店を飛び出して街の人たちと顔を合わせるこの機会を楽しんでいるようでした。
[し]ってた?ご近所の〇〇さん、おめでたいんですって!
神田錦町のおめでたい老若男女をみんなでお祝い
駐車場エリアにはステージが設けられ、壇上にはなにやら緊張の面持ちで座る人たちが。はじまったのは「みんなでお祝いコーナー」。
今年お店をオープンした・成人を迎えたというおめでたい節目を迎えた方や、部活やバリスタの大会での功績など、街を飛び出しての活躍を街の皆さんとともに讃えました。
世界大会で優勝したという方も現れ、えっ!こんなすごいことしてたの!? とざわつく場面も。
こうした場を通して祝い合うことは、身近に頑張っている人がいると感じられて、祝う方も活力をもらえる気がしてきました。
[ず]っと途切れない元気が場をつなぐ。若いパワーたちも炸裂
ご縁日には子ども達や近くの学生も多く集まりました。大人たちのお酒が進んで陽気に出来上がるよりも先に、とにかくずっと元気な若いパワーがこの場の空気を作っていたといっても過言ではありません。
お神輿を引いてパレードしたり、渾身のダンスを披露したり、運営スタッフとして活躍してくれたり。一方で、取材のカメラに何度も映り込もうとしたり、何時間もインターバルなしで鬼ごっこをしていたりと、楽しむプロっぷりを見せつけてくれました。
[せ]いせいどうどう戦えばもはや友。
路上で繰り広げるチーム対抗・綱引き大会
すっかり場があたたまってきたところで、おまちかねの綱引き大会へ。
実はこのご縁日に先駆けて、一ヶ月前に日本綱引き連盟の方から直々にレクチャーしてもらう綱引き講座を開催していました。講座には本戦に挑むチームの8割以上が参加。各々積んできた練習の成果が発揮される場ともあって、異様な緊張感に包まれていました。
前回王者はほぼ日ヒッパレーズ。ほぼ日チームは昨年初参加だったにも関わらず圧倒的な強さで勝利を納め、今年は「打倒ほぼ日」に闘志を燃やすチームが20組エントリーしました。
路上で試合が始まると、大勢の人が集まってきて熱い戦いを見守ります。
綱引きは短期戦ながらも選手も応援陣も一体感がぐっと生まれ、勝っても負けても楽しそうに讃え合う様子が微笑ましくもあります。
トーナメント一巡目の最後には、ついに前回王者・ほぼ日ヒッパレーズが登場です。
いざ試合が始まると、完成度の高いフォームを披露(写真で振り返ってもきれいすぎる)。強さも圧倒的でギャラリーからは「なんか息が揃いすぎててぞくぞくする…!」との声も聞こえてきました。
決勝戦は、パワー系のメンバーが集まる安田不動産チームと、年齢の幅が広いほぼ日チームの戦いに。ギャラリーが一層増え、勝負の行方に注目が集まります。
3本勝負の末、優勝はほぼ日に!決勝まで油断も隙も与えない強さを見せ、会場を大いに盛り上げてくれました。この高い壁を破ることはできるのか…来年の大会もいまから期待されます。
[そ]れちょうだい!街のみんなで運を競って大盛り上がり。
白熱した綱引き大会の後は、最後の催しのお餅配り。400個用意のあったお餅たちが、みるみるうちに街の皆さんの手に渡っていきます。
しかしこのお餅、ただのお餅ではありません。袋に意味深な番号が書かれた紙が入っている…と思ったらくじ引き大会がスタート。
町会長が番号を引き、当たった人が景品をもらえるということで会場が息を呑んで番号を見守ります。景品は、今年神田錦町にオープンしたThink CoffeeのコーヒーチケットやJINSが手掛けるONCA COFFEEの詰め合わせ、神田ポートのお土産セットなど神田錦町にまつわるものでどれもほしい…。
会場の皆さん前のめりになりつつ、外れたとしてもちゃんと讃えて暖かな雰囲気に。一番最後の目玉景品・お掃除ロボットは女の子の手に渡り、微笑ましくくじ引きは終了。
最後は木遣りと神田一本締めで場がきれいに収まり、潔くお開きとなりました。
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振り返るとわずかな時間のご縁日でしたが、たくさんの人が次々に訪れ、ちょっとよそよそしく声をかけたり、初対面同士で笑い合ったりと、交流が生まれる場面をたくさん見ることができました。
「これも何かのご縁」とは言ったものですが、縁のはじまりはきっとこれくらい些細なことかもしれません。
道路や駐車場を封鎖したり、おめでたい人をみんなでお祝いしたり、この街らしさが溢れた「神田錦町 ご縁日」。ここで得たご縁を通して、この街の一員であることを改めて感じるとともに、神田錦町の今後がぐっと楽しみにもなるひとときでした。
Text/Edit: Akane Hayashi
Photo: Mariko Hamano